売電システムの仕組みと収益化のポイント
家庭用太陽光発電システムを導入すると、発電した電力のうち家庭で使いきれなかった分を電力会社に売る「売電」が可能になります。
売電は、電気代の節約だけでなく、余剰電力を収入源にできる点が大きな魅力です。ここでは、売電の仕組みと収益化のポイントをわかりやすく解説します。
売電の基本的な仕組み
太陽光パネルで発電した電気は、まず家庭内で消費されます。家庭で使いきれなかった余剰電力は、送電線を通じて電力会社に自動的に送られ、これが「売電」となります。
売電を行うには、電力会社との契約や必要な申請手続きが必要です。売電メーターが設置され、どれだけの電力を売ったかが記録されます。
売電制度の種類
余剰電力買取制度
家庭用(10kW未満)の太陽光発電では、余剰電力買取制度が適用されます。発電した電力をまず家庭で使い、余った分だけを電力会社に売る仕組みです。これにより、電気代の節約と売電収入の両方を得ることができます。
全量買取制度
10kW以上の大規模なシステムでは、発電した電力の全量を売電できる「全量買取制度」が利用できます。家庭での自家消費は行わず、すべての電力を売ることで大きな収益を狙うことが可能です。ただし、設置や運用の条件が厳しく、事業用向けとなります。
FIT制度(固定価格買取制度)
売電の代表的な仕組みが「固定価格買取制度(FIT)」です。これは、国が定めた価格で一定期間(住宅用は10年間、産業用は20年間)電力会社が必ず電気を買い取る制度です。
売電価格は毎年見直されており、2025年時点では住宅用(10kW未満)の売電価格は年々下がっていますが、導入時の価格が10年間保証されるため、収益の見通しが立てやすいのが特徴です。
FIT期間終了後(卒FIT)と新たな売電方法
FIT期間が終了すると(卒FIT)、売電価格の保証がなくなり、各電力会社の自由な買取プランや市場連動型のプランを選ぶことになります。
買取価格はFIT期間中より低くなる傾向がありますが、電力会社や新電力の独自プラン、時間帯別プランなどを活用することで、引き続き売電収入を得ることができます。
売電収益を最大化するポイント
- 発電量を増やす
パネルの性能や設置条件を最適化し、定期的なメンテナンスを行うことで発電量を維持・向上させます。パワーコンディショナーの点検や交換も重要です。 - 自家消費を高める
売電価格よりも電力購入単価の方が高い場合が多いため、発電した電気をできるだけ家庭で使うことで経済的メリットが大きくなります。昼間に家電を稼働させたり、蓄電池を活用して夜間に使うなどの工夫が有効です。 - 売電先やプランの見直し
FIT期間終了後は、複数の電力会社や新電力の買取プランを比較し、条件の良い売電先を選ぶことで収益を維持できます。市場連動型やプレミアム価格のプランも選択肢です。 - 蓄電池やVPP、PPAの活用
蓄電池を導入して電力価格が高い時間帯に売電する、あるいは仮想発電所(VPP)や電力販売契約(PPA)などの新しい仕組みを活用することで、収益機会を広げることができます。
まとめ
売電システムは、家庭で使いきれなかった電力を収入に変える仕組みです。FIT制度による固定価格買取や、卒FIT後の自由契約など、時期や状況に応じて最適な方法を選ぶことが収益化のポイントです。
発電量の維持、自家消費の工夫、売電先の見直しを組み合わせて、太陽光発電の経済的メリットを最大限に活かしましょう。
コメント